ジャカルタ生活情報

Jakarta Life Information

労使間のトラブル

労使間のトラブルについて

労働条件への不満に起因するトラブルや、解雇・退職をめぐるトラブルなどのリスクについてです。

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インドネシアでは、労働者個人と会社との間の対個人の労使問題のみならず、企業組合・上位労働組合との間の対団体の労 使問題や労働局・移民局が不定期に行う査察への対応などの問題が頻繁に生じます。典型事例としては、解雇に関する問題、従業員からの賃上げ・正社員化要求問題、外国人の就労許可に関する問題などの事例があります。

 

イスラム教徒のお祈り

労働問題が発生する要因としては、現地文化・風習の理解不足等に基づく労使コミュニケーション不足に起因するものが多いようです。日本とインドネシアでは、当然文化・風習が異なるので、日本風の従業員対応がそのままインドネシアでも通用するものではなく、インドネシア国民の八割がイスラム教であることを深く理解する必要があります。

例えば、ムスリムの従業員には一日に数回ある祈りの時間を取らせることも大切な気配りです。

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イスラム教徒の食習慣

また、イスラム教徒(ムスリム)にはハラル食品(豚肉やアルコールを除いたもの)を提供する必要があります。接待の場面では食事の提供に十分注意が必要です。

イスラム暦 9 月のラマダン月には、イスラム教徒は夜明けから日没まで断食を行い、一切の食物並びに水を口にしません。そのような時期に身体に過度に負担をかけるような仕事を依頼することを避けるなどは、従業員と円滑な関係を築く上で大切な心遣いです。

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贈収賄に関するトラブル

収賄に関するトラブルについて

自社が現地公務員に直接金銭を提供していなくても現地パートナーや取引先が贈収賄を行っていた場合、共謀しているとみなされ摘発されるケース、進出先以外の法律の適用を受けるケースもあります。

現地パートナーや取引先との契約締結前の調査では、このようなリスクを考慮し、相手企業の合弁事業・大規模開発 事業の実施状況や、政府との取引状況などについても可能な限り情報収集することが大切です。

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(1)汚職の種類

贈賄・贈答・横領・強要・国家損失に繋がる不正行為など

 

(2)警戒すべき贈答品の例

現金、物品、割引サービス、手数料、無利子の融資、 旅行のチケット、ツアー旅行、無償医療、 その他無償の便宜など

 

(3)KPK(汚職撲滅委員会)の存在

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収賄が多いとされるインドネシアだが、近年取締りが強化されてきています。

ユドヨノ政権が2004 年から進めてきた治安対策、汚職対策の成果が出ており、イスラム過激派によるテロが激減しています。また、汚職撲滅委員会(KPK 2003年に正式発足)による汚職の摘発も進んでおり、これらの面では、進出日系企業を取り巻く環境は改善してきている見方もできます。

公権力からは嫌悪される存在でありながらもKPKの実績は国民からは高い評価を受けています。

 

KPKの主な役割

  • 政府高官、国家公務員、国会議員などが関連する汚職事件の内偵捜査・捜査・起訴・訴追
  • 汚職の教育・キャンペーン
  • 他の捜査機関との協力
  • 政府の反汚職政策の監視など

 

人材の確保

インドネシアにおける人材確保について

人件費の高騰や、有能な人材の採用困難・人材の未定着(ジョブホッピング)・外国人労働者雇用許可などについてです。

 

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1)人材の確保

インドネシアでは、労働人口は潤沢であり、一般ワーカーの採用は企業の「買い手市場」であり、一般ワーカーの採用にあたり問題は生じにくいと言われます。優秀なエンジニアやスタッフの採用はそれほど容易ではないと言われているのは、同国では就業人口に占める大学卒業者の比率が 8%と低く、5 割弱は小学校で教育を終了しているためです。このため専門的な基礎知識・技術を有る人材が少ないことに加え、企業間での引き抜きやより良い条件を求めての転職も多く、優秀なエンジニアやスタッフの確保は重要なポイントとなるのです。

 

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(2)最低賃金

インドネシア最低賃金は、州別最低賃金、県・市別最低賃金、特定の地域では産業別最低賃金と分かれています。日系企業が多く進出する西ジャワ州は、州の最低賃金を定めずに、県・市ごとの最低賃金を決定しています。

 

主要州・県・市の最低賃金推移 (単位:ルピア)

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 (参考)インドネシア労働移住省、各種報道を基に作成

 

 

 

 

(3)労働意識

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インドネシアは従業員の転職志向が比較的強い国です。

また、同じ職場環境で働く人たちに影響を受けやすい性質もあり、ポジティブな職場環境を作ればポジティブな影響を受け合います。

 

インドネシアでは目上の人を敬い、上下関係を大切にする風習があり、上司に不満があったとしても日本のように職場で強く意見をぶつける人は少ないと言われています。

給料、休日、補償などの待遇レベルと共に、精神的にも従業員と日頃からコミュニケーションをとることを心掛けて、信頼関係のある良好な労使関係が良い職場を作るなど、リーダーとして人をまとめる力がインドネシアで働く上では不可欠要素でしょう。

 

 

 

 

 

(4)従業員の採用

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一般ワーカーの採用は、新聞広告・自社ホームページ・工場門扉での求人掲載や、人材会社の利用、学校での求人などさまざまな方法で募集が行われています。採用形態では、当初は期間の定めのある契約社員として採用した後、優秀な人材を社員として採用するケースがよく見受けられます。

人材会社や自社ホームページ等での募集の他、既存スタッフ社 員からの紹介や、閉鎖・撤退した企業のスタッフ経験者の採用などで補充されることもあります。

 

 

 

 

(5)外国人労働者雇用許可および暫定居住許可の取得

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インドネシアに外国人社員を派遣し就労させるためには、一時滞在ビザ(VITAS=Visa Tinggal Terbatas)の取得が必要です。

一時滞在ビザの取得には、投資調整庁(BKPM) から外資進出の認可を取得し、現地子会社の法人設立手続きを完了することが必要になります。ビザ発給の手続きの流れは以下の通りです。

 

 

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法規則の変更・不透明な運用

法規則の変更・不透明な運用について 

インドネシアでは日本に比べて頻繁な法規制の変更や不透明な運用が行われる場合があります。事業に大きな影響をおよぼす場合があるため、法規制に関する動向を早期に把握し、影響を最小限に留めることが必要です。

 

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問題となる主な内容

  • 突然の法規制の施行
  • 移行期間のない輸入規制の発布と遡及適用
  • 税法、規制の頻繁な変更
  • 法令施行規則の不備・運用の不透明

 

法令・規制発効後、実運用がされているのかはっきりせず、さまざまな場面で解釈に違いが生じる場合や、その運用が必ずしも徹底されていないことがあります。

これらに対応するため、想定されるリスクの発生に備え、十分なリスク評価、コンティンジェンシー計画を事前に検討し、報収集のためのネットワークを構築しておくことが必要です。

また、十分な経理、税務、労務といった管理能力および経験を持ち、現地に精通した人材の確保が望まれます。

 

主要な国家機関の紹介

主要となる国家機関をいくつかご紹介します。

(ウェブサイトは全てインドネシア語で表示されます。)

 

Kementerian Perdagangan Republik Indonesia

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・商業省(http://www.kemendag.go.id
通商・貿易にかかわる大臣規程の発布など

 

 

Kementerian Perindustrian Republik Indonesia

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・工業省(http://www.kemenperin.go.id
産業全般にかかわる大臣規程の発布など

 

 

Kementerian Lingkungan Hidup dan Kehutanan

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林業省(http://www.menlhk.go.id
林業・森林保全にかかわる大臣規程の発布など

 

 

Kementerian Keuangan Republik Indonesia

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財務省関税総局(https://www.kemenkeu.go.id
関税業務、輸出目的で輸入した物品や原材料にかかる関税/物品税の免除・還付など

 

 

商習慣・風俗・宗教に関するトラブル

商習慣・風俗・宗教に関するトラブルについて

 

納期管理・コスト、意識の違いによる取引先とのトラブルや、現地慣習宗教上の制約等に関する従業員への配慮不足などのリスクです。

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インドネシア人は人間関係、繋がりを重視し、自分の知人だから、ステータスが高いなどという理由で特別な対応や決断を行うことが日本社会よりも顕著と言われています。

取引先とはマメに連絡をとり、一緒に食事をするなど親密度を上げるより良い関係が保てるでしょう。

 

 

(1)時間感覚

時間感覚の相違が非常に大きな問題につながります。日本人に比べインドネシア人は時間にルーズ(Jam Karet)であることが多く、パートナー企業と協業したり、仕事を依頼するときに納期が遅れがちになることに注意が必要です。

 

 

(2)宗教

人々の日常生活は宗教上の儀式や祭日を中心に動いています。

インドネシア国民の8割ほどがイスラム教徒(Muslim)と言われていますが、島によっては宗教のマジョリティが異なります。

その為、地域の食習慣や慣行、言葉の使い方まで気をつけなければならないこともあります。

ちなみに、世界的に有名なバリ島は牛肉を食べることが禁じられている ヒンドゥー教 信者が暮らす地域です。

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(3)お祈り

一般的なイスラム教徒は、1日に数回メッカの方角に向かって礼拝をする習慣があります。その為、職場でも礼拝用の場所を提供することも忘れてはいけないでしょう。

金曜日はモスクに訪れて礼拝する「金曜礼拝」という習慣もある為、従業員の宗教的習慣をよくリサーチしておくと良いかもしれません。

金曜日の午後からは社員のほとんどが帰ってしまい、営業時間が短くなるケースもあるようです。

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(写真:ジャカルタにある世界最大級のモスク "MASJID ISTIQLAL")

 

 

(4)断食月ラマダ

毎年、7月・8月頃にラマダン(Ramadan)といわれる断食月があります。

断食明けの祝日「イドゥル・フィトリ(Idul Fitri)」まで一ヶ月間、断食が行われます。

ラマダン中は空腹でイライラしたり、集中力を欠いたりする従業員も出てくるため、様々な気配りが大切です。運転手は運転中に交通事故のリスクが高まるので注意が必要です。

 

ラマダンの後は、インドネシア最大の長期休暇(帰省)が始まります。

とくに、首都ジャカルタをはじめイスラム教徒が働く地域のビジネスはほぼ完全に停止します。予めこの時期を予測して納期や経費を設定しておかないと、業務上で大きな打撃を受けることになり兼ねるので注意が必要です。

 

 

通常時のジャカルタの様子

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ラマダン明けのジャカルタの様子

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顧客とのトラブル

顧客とのトラブルについて

 

様々な視点から企業とのパートナーシップが重要です。

考えられる現地でのトラブルの起因となる要素の一部を挙げてみました。 

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現地での取引では、文化・商慣習・社会通念等の違いにより、取引の基本的認識にズレが生じることがあります。誤解によるトラブルを未然に防止するためにも、しっかりとした信用調査・契約内容・与信管理·保険の手配等が大切なポイントになると考えます。

 

① 信用調査

債権回収の際などにトラブルにならないためにも、主要な取引を開始する前には第三者信用調査レポートを取得するなどして、顧客の調査が欠かせません。

パートナー候補が公正な登録法務省で行なっているか、資本金株主業種など詳しい情報も調査することが可能です。

 

② 契約内容

契約書において留意すべき主なポイントを挙げてみました。

  • 支払方法·支払期限。

契約書で支払条件を定める際には、代金前払いなど、可能な限り債権回収リスクの小さい方法を選択すること。

 

  • 紛争解決手段(裁判·仲裁等)、適用される法律、紛争解決地·機関。

政治や宗教運動が盛んなインドネシアで、万が一紛争に発展した場合に備える。

 

  • 契約解除方法。

相手側の不履行や倒産等があった場合

 

  • 保証期間、クレームの請求要件、免責事項等。

 

③ 与信管理

海外ではカントリーリスクをはじめ、信用情報、決済条件、担保や保証など、与信管理を取り巻く環境は、日本と大きく異なります。

日本本社の与信管理規程を準用するのではなく、進出先の実態について情報を収集しつつ、与信管理規程を整備することが大切でしょう。

 

 

④ 保証

取引先の倒産により代金が回収できない、などの信用リスクを補償する保険として、日本貿易保険が販売する貿易保険や、民間保険会社が販売する取引信用保険の手配を検討することができます。

 

 

 

施設・設備に関する事故・故障の対策

施設・設備に関する事故・故障の対策について

 

施設·設備に関するトラブルが発生した場合、事業が中断し、販売先への納期遅延等が発生するだけでなく、従業員の負傷に対する補償、施設·設備の修理費等思わぬ出費も想定されます。主な注意できる点を挙げてみました。

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関連法規制

施設・設備の建設・設置・運営等に関する現地の法規制についての把握です。

違反とみなされる場合には、地方政府当局から罰金等を科される可能性もあるため注意が必要です。理不尽な対応を避けるために、日頃現場の人間とコミュニケーションを図っていくことも大切です。

 

 

施設の安全性

現場では重機による人身事故高波漏電などの災害被害等のリスクです。

管理者の目が行き届かないところで多発する不審者侵入への対策はしっかりと考慮するポイントです。

工場地帯などで、高く売れる商材や廃材を盗難される話はよくあります。フェンス、監視カメラ、赤外線センサーを設置する等、工夫する必要があります 。

 

 

現地環境に対応した設備

日本と異なる温湿度等の環境により、インドネシアでは早期に設備や商材などが劣化する場合があります。

突然の豪雨落雷にも日々現地パートナーと対策を練っておく必要があります。インドネシアでは日常茶飯事の豪雨に伴う洪水(Banjir)は、都心部でも気をつけなければなりません。

 

 

メンテナンス・修理対応

施設・設備の日常的なメンテナンス、または施設・設備メーカーのメンテナンス・修理対応確保です。外国人は高く料金を設定されてしまうことが多々です。

見合った価格対応のよいパートナーを探しておくと早期に問題を解決できるでしょう。